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雲南市近代たたら実習(1) ワーキングハイ

10月31日から11月4日まで5日間にわたり、雲南市吉田町和鋼生産研究開発施設で近代たたらの実習に参加しました。粘土と真砂を配合して炉をつくり、材料の砂鉄をふるいにかけ、炭を切り、まきをまさかりでわり、火入れをし、炭と砂鉄を交互に投入し、最後は1日徹夜の作業で、けら出しまで、実に充実したときを過ごすことができました。
スタッフ以外の実習生として参加したのは大手鉄鋼会社の新人社員3名、やはり鉄鋼会社のベテラン社員4名、リピーター2名、それに私のような物好き組と思しき人4名でした。
普段一人でごそごそしていることが多い身としては、実習生、スタッフ一緒になって、泥をこねたり、炭を切ったりする作業が新鮮で、作業のあいまの話が楽しく、気分が高揚するのを覚えました。ワーキングハイなどという言葉があるのかな。一昔前は土木作業でも農作業でもこうして人が集まって、歌でも歌いながら作業することが当たり前だったのだろう。現代人はある意味こうした高揚感の味わえる機会を失ってしまったのかも。
たたらが行われていた当時はこの職場は相撲の土俵と等しく女人禁制だったらしいが、今回は女性も男性と等しくかそれ以上に立ち働いておられたように思う。すごい、ふしぎ?
たたらの前に(近代)とついているゆえんは一つには釜の形にあるようだ。本来のたたらは全体を粘土と真砂を練ったもので作るらしいのだが、近代たたらは2分割された跳び箱形の鉄製枠があり、その内側と上に粘土と真砂で内貼りをして釜を作り上げる。したがって最後の工程では天井クレーンで各釜吊りあげることにより、釜を破壊することなくけら出しができるというわけである。
ちなみに(けら)とは金偏に母と書くらしい。鋼の材料、鉧だ